2009年2月12日 (木)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その9

 か、感触を詳しく語っていたっ!? あ、あなた達に?
 そっ。夏休み明けの九月の昼休みの時間に、夏休み中に広がったあの噂はホントですかって、屋上で話してるときに誰かが鵜飼先生に質問したんだ。そうしたら、“おう、ホントだ、ホントだ。まずはなぁ、ブラジャーの上からお触りさせてもらったんだが、そのブラジャー姿がなぁ、これがまた魅力的でなぁ。もう、はち切れんばかり、溢れんばかりってかんじのタップリ感でなぁ。その、もう、ちょっとでも走ろうものならブラジャーのカップからこんにちはしちゃいそうな大きさのオッパイちゃんなんだが、これが、お触りさせてもらうと、ビックリするぐらいのプリっプリ感でなぁ。わかるか? プリプリじゃなく、プリっプリしてたんだぞっ”て。
 プリっプリしてたぁ……
 “それでなぁ、その透き通るような肌の色に合わせたかのような純白、まっ白なブラジャーの上から強引にこ~やって、いいか、こうじゃなくって、こ~んな、こ~~んなかんじでだぞ、こ~んなかんじでブラジャーの上からあの岡田先生の巨乳ちゃんを揉み込んでいくとだなぁ、指と指のあいだから、あの岡田先生の人一倍巨きなオッパイちゃんがムニュムニュ~っとはみ出してくるんだぞ~”って、妖しげな手つきなんか加えながら自慢げに話してくれてたけど。
 て、手つきまでもっ!?
 そっ。こうやって、両手の指をいっぱいに広げ、ワシ摑みしながら円を描くように揉み上げる、もう、それ見てるだけで、岡田先生のオッパイの巨きさと柔らかさが伝わってくるような、そんな迫真の手つきを加えながら、嬉しそうにしゃべってたよ。
 ん、もう、最低の最低ねッ! 教師失格、人間失格よっ! 一生離島から戻って来なければいいんだわ、あんな下品で野蛮な人。
 下品で野蛮かぁ。でもさぁ、そういう意味だったら、PTA会長のほうがもっと下品で野蛮だったんじゃない?
 PTA会長? 佐山クンたちの時の会長さんって……、確か、和田さんだったわよねぇ?
 そっ。商店街の会長で、子ども会の会長なんかもやってた、あの頭がつるピカにハゲ上がって、お腹のポッコリ出たオジさんなんだけど、あのオジさんね、酔っ払うとな~んでも話しちゃう人でさぁ、夏休みキャンプの直前だったか、キャンプの注意事項をみんなに話しておくから今度オジさんの家に集まるようにっていわれて、それでキャンプの一週間ぐらい前にあのオジさんの家にみんなで行ったことがあったんだけど、キャンプの注意事項なんてほとんどしなくって、よく集まったよく集まったボーイズとかいって、ひとりでサッサと飲みだしちゃってさ、はじめのうちはプロ野球とかゲームとかの話をしてて、それはそれで結構面白かったんだけど、どこでどう話が逸れたのか、いつのまにか岡田先生の話を始めちゃったんだけど、あのオジさんたら、鵜飼先生と同じか、それ以上に岡田先生に興味深々でさぁ、“あの岡田とかいう先生のボインちゃんは凄いぞ~、ひょっとしたら、金持ちぶりをひけらかしてるだけの、あのなんとか姉妹より上かもしれないぞ~”なんて言い出しちゃってさぁ。

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 8日 (日)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その8

 あ、あなたたちの前でそんなことをッ!?
 そっ。“一緒に入ったらなぁ、岡田先生の身体を隅からすみまでキレ~イに洗ってあげて、それでなぁ、泡まみれになった先生のおっぱいの先をこ~やって、こ~~やって指でツンツンして、岡田先生を悦ばせてあげるんだぞ~っ”て、それはそれは嬉しそうにしゃべってからね。
 とっ、年端もいかない子どもたちの前で、そんなこと嬉しそうに喋るなんて……、なんていうスケベ教師なのかしらッ!
 それは先生がとびきりグラマーだったからじゃない? あの当時から、胸なんてこ~んなふうに盛り上がってたんだからさぁ。
 そっ、そっ、そんなことないわよぉ。その部分のことで言えば、大久保先生のほうがずっとずっと立派な巨きさ誇っていたんだかぁ。
 大久保先生? よく低学年のクラス受け持ってた、あの先生のこと?
 そう、そう。女の先生の中ではいちばん背の高かった。
 ダメダメ。あんなの全然ダメだよ。問題外だよ。
 全然問題外!? どうして? だって、先生たちだけで健康診断した時、大久保先生の胸囲、ビックリするような数字だったのよ。三桁越すような。それなのに、どうして問題外になっちゃうわけ?
 どうしてって、だってさぁ、大久保先生ってただ男みたいに身体がデカイだけじゃない。身長が百七十五越えるぐらいあって、それに応じてただ胸囲があるだけじゃない。横幅があるっていうか、骨格そのものの厚みがあるっていうかんじで。やっぱさぁ、グラマーっていうんだったら、出るとこは出つつも、引き締まるところはキュッと引き締まってないと。そうじゃないと“グラマー”って言わないんじゃない?
 た、確かにそうかもしれないけど、でも、小学生の前でそんなことを口に出して言うなんて、本当に最低の教師だわ。教師失格、いえ、人間失格だわ!
 人間失格はいいんだけど、じゃあアレは? アレはウソだったの?
 あれって?
 アレだよ、アレ。鵜飼先生が岡田先生のその巨きめのオッパイをモミモミしたっていう噂のこと。
 おっ、おっぱいをモミモミっ!? どっ、どっ、どこから……、そんな噂が……
 あれ? 知らない? どっかの夏祭りに鵜飼先生と岡田先生がいっしょに行って、境内の裏手かなんかで、鵜飼先生が岡田先生の浴衣のなかに手をいれさせてもらって、ブラの上から十分ぐらい、校内一って噂されてた岡田先生のそのオッパイをモミモミさせてもらったっていう噂のことだけど。
 ないっ、ないっ! そんなのウソよっ! 大ウソ。そんなことあるわけないじゃない。それもデタラメよ。
 そうなの? でもさぁ、鵜飼先生が調子に乗って岡田先生の純白のブラのなかに手を入れようとしたら、それはもっと交際が進んでからねっていって、ペチッてされて、ブラの肩ヒモにかかりかけてた手を払いのけられたっていってたけど…
 ウソっ、ウソっ! それもウソ! そんなの全部デタラメの大ウソだわ。そもそも、鵜飼先生と一緒に夏祭りになんて行ってないもの。
 そうなの? 行ってないの? でもさぁ、境内の裏手に生えてる銀杏の大木を背に岡田先生を立たせ、その大木の下で、帯でいつも以上に隆起が強調されたオッパイを、ブラの上から、ワシ摑み、ある時は、下から持ち上げるようにしながら、モミモミさせてもらった時の感触、鵜飼先生、かな~り詳しく語ってたけどなぁ。

           (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 4日 (水)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その7

 ふ~ん。鵜飼先生も離島から大変だね。
 あら? 鵜飼先生が離島の小学校の先生やっているって、佐山クン、どうして知っているの?
 えっ? あ、あの、それは………そう、友だちの弟がまだあの小学校に通ってて、そこから情報が入ってきてて……
 ああ、そういうことね。それなら卒業しちゃった佐山クンが知っていてもゼンゼン変じゃないわね。
 ま、まあ、そういうワケなんだけど……、ああやって、よく離島からかかってくるわけ?
 よくなんてものじゃないわよ! もうしょっちゅうよ。休みの日はああやって朝から連続だし、授業のある日は、休み時間を狙ってかけて来て、それでこっちが電話に出ないと、キッチリ留守電サービスに伝言を残していったりする有様で、この間なんてね、ケータイ家に置き忘れ一日出かけてしまって、それで夜家に戻って着信確認してみたら、着歴が七十件、それゼ~ンブ鵜飼先生からのものだったんだから。まったくイヤになっちゃうわ。
 ひょっとして、かなり前からそんな状態だったりする?
 そうよ。佐山クンたちがあの小学校に在学していた時からデートしてくださデートしてくださいって、しっつこいくらいに何度も誘われて、それで、あんまりにしつっこいから一度だけデートに応じたんだけど、先生、“アナタとは同僚教師以上として考えてはいませんし、今後もその方針を一切変えるともりはありませんから、どうぞお諦めになって下さい”って、そうキッパリ言ってやったのよ。そうしたら、最初で最後のデートで、しかも、一歩たりとも肩並べて歩くことなく、待ち合わせに指定されたその場所に現れるやいなや、いきなりそう言われたのが相当ショックだったらしくって、それで自分から離島の学校へ転任しちゃったものだから、だから、ちょっとショックを与えすぎたかなとも思ったんだけど、でも、同じ小学校に勤務している時からなんやかやしつっこく付きまとわれていたから、これでしつっこいひとからようやく解放されるって一方では喜んでもいたんだけど、静かだったのはじめのひと月だけよ。ゴールデンウィークが近づいた頃からまた電話がかかって来るようになって、徐々にその回数が増して行ってってかんじなのよ。
 こんどそっちに行った時にデートしてくださいって、そんな内容?
 それだけならまだいいわよ。あの先生ったら、いつの間にかわたしの親みたない気持ちになっちゃってて、近頃じゃわたしの私生活まで電話で監視しようとして、さっきの電話のわたしの受け答え聞いてて何となく分っちゃったと思うんだけど、アレは食べるな、コレは身体にイイぞ。明日は寒さが一段と増すから、毛糸のパンツをはいて出勤した方がイイですよとかって、そうやって、まるで旧時代の親みたないこといって、アレコレ監視しようとするのよ。信じられる?
 う~ん、気持ちはわからなくもない……かな?
 分らなくもないっ!? ど、どうして? どうしてストーカーまがいのその行為が理解できちゃうわけ?
 まあ、確かに七十件の着歴は異常かもしれないけど、でもさぁ、鵜飼先生、それはそれは、もう、ココがおかしいんじゃないのっていうぐらい、岡田先生にお熱上げてたからね。
気が狂うほど? そんなに? ある程度気に入られているっていうのは気づいていたけど……
そうだよ。もう、頭に“チョー”がつくぐらい強烈でさぁ、だってねぇ、“もし岡田先生と結婚出来たら、毎日岡田先生と一緒にお風呂に入ってやるぞーっ”て、ボクたちの前で高らかに宣言してたぐらいだからね。

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年1月31日 (土)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その6

 わたしが魅力的? それ、何かのお世辞? 飴チャンなんて持ってないわよ。
 違いますよ。お世辞なんかじゃないですよ。マジですよ、マジ。真剣に言ってるんですよ。
 そう言ってくれるのは嬉しいけど、でも、よく抜けているって言われるのよねぇ。
 職員室に出席簿忘れてきちゃったりとか?
 えっ?
 で、その出席簿を取りに戻ったら、今度はチョーク箱を自分の机の上に置いてきちゃったりとか?
 いやだ、佐山クン、そんなこと憶えていたの?
 最後には、チョーク箱を取りにもう一度職員室に戻ったら、最後には肝心の教科書をどっかになくしてきちゃったりなんてことが、ボクたちの担任だった五、六年の時だけでも四、五回、いや、少なくとも六回はあったよねぇ。
 いやだわぁ~。そんなことまで細かく憶えているなんて、先生、顔から火が出そうだわ。
 そういえばさぁ、遠足の時はもっと傑作だったよね。事前に何度も何度もボクたちに日程とか確認させてたのに、肝心の先生が勘違いして前日に遠足の仕度して登校して来ちゃったりしてさぁ。
 止めてっ、止めてっ。
 で、そのカッコだけど、あれほど今度の遠足ではみんなでバスに乗って潮干狩りに行きますってくり返してたのに、どうしたワケか先生、登山するようなカッコで登校してきちゃってさぁ。
 止めてッ、止めてッ。それ以上いわないでちょうだいっ。それ以上いろんなこと想い出されたら、先生、お嫁さんに行けなくなっちゃから。
 お嫁さんに行けない? アレ? 先生、まだ結婚してなかったんですか?
 結婚? 私が? 誰と?
 誰とって……アレ? 先生、1組の担任だった鵜飼先生とつき合ってたんじゃなかったの?
 うっ、鵜飼先生とッ!? どっ、どっ、どうしてそういうことになっちゃうわけ?
 だってさぁ、ボクたちがあの小学校に通ってた頃の話だけど、休みの日になるといつも鵜飼先生とデートしるって噂が……
 どうして? どうして、どうして? 誰がそんなこと言ったわけ? ねえ、だれがそんなデマ流したわけ?
 誰がって、アレ? あの噂、間違ってたのかな……
 ウソウソ。そんなの根も葉もないデタラメよ。大ウソよ。だって、先生、鵜飼先生なんてタイプでもなんでもないもの。あんな胸毛のモジャモジャと生えたような男なんか、こっちから願い下げよ。
 先生、胸毛のある男のひとダメなの?
 ダメ、ダメ。も~、まったくダメっ。もともと鵜飼先生って妄想が烈しいタイプで、ちょっとっていうか、かなりついて行けないタイプなんだけど、そこへもってきてあのモジャモジャの胸毛でしょう。ああ、イヤだ、イヤだ。卒業した佐山クンの前だからハッキリいっちゃうけど、先生ね、ああいう、胸毛とかスネ毛とかモジャモジャしたひとって生理的にダメなのよ。だから、デートに誘われた時もキッパリ断ったし、さっき掛かってきた電話だってキッパリと……あっ!
 駅で待ち合わせしてた時から何度も何度もしつこくかかってきてたあの電話、アレ、鵜飼先生からだったんだ。
 ま、まあ……、そういう……ことで……

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月27日 (火)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その5

 悪いこと? 何か隠れて悪いことしているの? ひょっとしてナンパとか?
 ナ、ナンパなんてしませんよ~。こう見えてもけっこうシャイな性格のほうだから、見ず知らずの女性にいきなり声かけるなんて出来るワケないじゃないですかぁ~。
 でも、夏休みなんだから海とかには行ったんでしょう?
 二回、いや、三回行ったかな? ホントは釣りとかが趣味だから、海水浴だけじゃなく、そういう意味でももっとみんなと海とか川とかに行きたいんだけど、でも、夏休み明けにテストが待ってるから……
 夏休み明けにテスト? 9月早々にテストって………実力テストかなんか?
 そっ。テストは年五回で、普通の高校と同じかんじなんだけど、ウチの高校、それとは別に年に三回実力テストがあって、それも同じように最低点とかが設定されてるから、同じように気が抜けないんですよ。で、しょうがないってかんじで、遊ぶのは週に数日きりにして、残りは部屋でシコシコ勉強してたりするんだけど、そうしたら、どうしてだかわからないけど、何となく小学校の時のこと思い出しちゃって、それで先生のとこに電話しちゃったっていうワケなんです。
 なるほど、そういうことだったのね。でも、いきなり何年も前の卒業生の佐山クンから電話もらった時は、先生、てっきり事故でもあったのかと思ってビックリしちゃったんだけど、でも、逢った時はもっともっとビックリしちゃったわ。だって、あんなに小さくてヒョロヒョロしていた佐山クンの背がこ~んなに伸びて、ヒールを脱いでこうやって向かいあってみると、まるで見上げるようなんですもの。
 成長したのは背だけじゃないですよ。胸板なんかこ~んなに厚くなったんですから。
 あら、ホント~。すごい胸板だわ。どうしちゃったの?
 中学二年のあたりから有酸素運動を始めたんで、多分、その効果が現れてこうなったんじゃないかと。
 有酸素運動? それって、ジョギングとかのこと?
 ううん、もっと汗ダっクダクになるようなやつ、ダっクダクに。
 汗ダっクダクに?
 そっ。どっちかっていうと室内で、裸になったりしてやるような運動。
 室内で? 裸に? 先生には何のこと言ってるんだからよく分らないけど、でも、もうすっかり大人ね。身長だけじゃなく、顔の輪郭とかも大人のそれに近づいていって、こうやって向き合っていると、先生、なんだか圧倒されちゃいそうだわ。
 それより、いきなりこんなふうに呼び出したりて迷惑じゃなかったですか?
 そんなことないわ。逆よ、逆。
 逆?
 そう。だってね、“先生、また来ます。ボクたちは一生、この学校のことも先生のことも忘れませ~ん”なんて、口々にそういって、中には同窓会まで固く誓って卒業して行くんだけど、でも、一旦卒業して次の学校に進んじゃうと、元いた小学校のことなんかみ~んなきれいサッパリ忘れちゃうんですもの。
 そうなの? でも、ボクはただの一度も先生のこと忘れたりしてないですよ。なんたって、先生、魅力的だったから。

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月20日 (火)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その4

 高校の話。ボクがどこの高校に通ってるかっていう話。
 そうそう。そうだったわね。ええっと、佐山クン、たかしか聖ロザミオ・ミオ高校に通ってかいるんだったわよね? 先生、詳しく知らないんだけど、聖ロザリオって、そんなに厳しい高校なの?
 何ていうか、授業のほうは普通、ほかの高校でやってる授業と同じようなかんじだと思うんだけど、テストがねぇ……。テストがかなり、いや、メチャきびしくって、場合によっては退学なんかもあったりするんですよ。
 退学っ!? 少子化のこの時代に退学させたりするの? それ本当の話なの?
 そっ。ホントのホント。小学校で教師やってる先生には信じられないかもしれないけど、でも、マジの話で、毎年十人ぐらい、いや、毎年二十人近い退学者が出て、卒業する時なんか、入学した時よりひとクラス少なくなってたりすんだけど、ま、それぐらいキビシくしておかないと、ゲームとかばっかやって、生徒が勉強しないのが見え見えだからなんだけど、でも、そのことは、毎年二十人近い退学者が出てるっていうは、校外には発表してないんだ。なんたって、ウチの高校では毎年二十人近い退学者が出てますなんてことを外にバラしちゃったら、それだけでビビって、新入生が集まらなくなって、いくらOBとかから寄付金が集まるからっていっても、それじゃあ私立高校として経営が成り立たなくなっちゃうからね。
 そうだったのぉ。ミッション系でカッコイイなんていうイメージがあったりするけで、そういう厳しい高校だったのね。でも、佐山クンは大丈夫なのよね? ちゃんと二年に進級出来たんだから。
 保健体育がちょっとヤバかったけどね。
 保健体育!? えっ? 五教科以外も同じようにテストが厳しかったりするの!?
 ウチの高校、テスト毎に“最低点”っていうのが設けられてて、高校側が設定するその最低点を1点でも下回っちゃうと、そのテストは落第。で、その落第は、その後の期末試験とか、つぎの学期の試験とかでリカバリーするっていうチャンスはいっさい与えられてないから、要するに、最低点を1点でも下回っちゃうとその科目は落第。で、例えその科目が主要五科目じゃない、音楽とか美術とかの科目でも、そういう最低点を下回った科目がひとつでもあると、学年の終わりに、赤い紙に黒文字で印刷されたプリントが郵送で自宅に送りつけられ、年度末の春休みの間に強制退学っていうことになっちゃうんだけど………、前回の保健体育のテストの結果がねぇ、首の皮一枚、いや、最低点を二点上回っただけだったから、首の皮半分、首の皮三分の一っていう、超ドキドキものの点数だったんだ。
 そうだったのぉ。でも、あの聖ロザリオ・ミオ高校に通っているなんて、先生、ホントに尊敬しちゃうわ。
 尊敬? ボクのことを? 先生ったら、冗談キツイなー。ボクなんて落第スレスレの最低学生みたいなものなのに。
 ううん。そんなことないわよ、そんなこと。だって、あの聖ロザリオ・ミオ高校なのよ。東大合格者を毎年何十人も出している高校なんだから、入学しただけでも凄いわ。快挙よ。だって、佐山クンたちが通っていたウチの小学校から聖ロザリオ・ミオ高校へ進学できたの、佐山クンとあと一人……、誰だったかちょっと忘れちゃったけど、とにかく、佐山クンたちが初めてのことで、その後、また聖ロザリオ・ミオ高校とは無縁の状態に逆戻りしちゃったんだから、快挙って言っても言い過ぎじゃない。ううん、快挙通り越して、今では、あの小学校の“希望の星”。太陽みないなものなんだから。
 “希望の星”で“太陽”かぁ。そんなふうに褒められちゃうと、なんか悪いこと出来なくなっちゃうなぁ。

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月16日 (金)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その3

 あら、本当だわ~。ずいぶんゆったりとしたバルコニーで、これくらい広々としたバルコニーなら、いくらお洗濯物を干したとしても………あら? ねえねえ、アレ、新宿の高層ビルじゃない? ねえ、そうよね? 駅の西口のほうにいっぱい建っている……
 そっ。駅から商店街の間を抜けるようにしてココまで歩いて来ちゃったからよく分らなかったかもしれないけど、でも、このあたりは高台になってる土地で、で、その高台の端っこあたりに建ってるマンションだから、新宿まで距離はちょっとあるんだけど、でも、方角さえ合えば西新宿の高層ビル郡がこうやって一望できるんですけど、でもね、昼間、太陽がこんな高い位置にある、午後一時とか二時とかに見ても大したことないですよ。見るならやっぱり、陽が沈んでからですよ。
 夜景ね! そうでしょう? このバルコニーから望む夜景、そんなに素敵なの? そうなの?
 最高も最高! よく新聞に入ってる降り込み広告とかで、窓から望む夜景が最高ですっていうのがあるけど、まあ、ほぼあのまんまですよ。降り込み広告のほうはあくまでイメージ写真で、ハメ込んであったり、ヒドイときはCGでちょいちょいとイジってたりするインチキ夜景だったりするんだけど、でも、ここから見える新宿のネオンは天然の、ヒトの手が加わわってない“まんま”の夜景だし、それに、ここは都心からちょっと離れてるけど、でも、そのぶん空気がキレイで、23区内に住むひとには想像もつかないほどたくさんの星が見えたりする地域だから、下は新宿のネオン、ちょっと視線を上にズラせば、ネオンに似た星の輝きが、ほぼ満天のように望めるんですから、ボクなんかもう何度も何度もこの部屋に来てて、ちょっと見飽きちゃってるようなとこがあるんだけど、でも、初めての人にとっては、文字通り宝石箱をひっくり返したようなあの夜景を観ちゃったりすると、普段の生活なんてどうでもよくなっちゃう、そんな気分になっちゃう夜景なんですよ。
 普段の生活がどうでもよくなっちゃうかぁ……。想像するだけで最高の夜景ね~。
 そっ。さっきもいったけど、ここは高台で、その高台の端っこに位置する場所だから、見てわかると思うけど、斜面みたいなのがあるだけで、普通の家とかはすこし先の、坂の下まで行かないとない状態なんですよ。だから、このバルコニーからの景色を眺めると、それだけで気持ちが開放されて、“サイコー、サイコーだわ~”なんて声を大にして思いっきり叫んじゃう娘とかもいるんですよ。
 思いっきり叫んじゃう? なんかちょっと想像できない光景だけど、でも確かに最高の環境ね。勉強に疲れたらこのバルコニーから、佐山クンがいま説明してくれた最高の夜景が眺められるんだから、これ以上ないっていうぐらい恵まれた環境だと思うんだけど、でも、そんな贅沢な環境の部屋を、高校生の子に勉強部屋としてポンと与えちゃうなんて、その友だちのご両親て、ずいぶんお金持ちの人なのね。
 よく知らないけど、何年か前にはじめたサイドビジネスが順調らしくて、これぐらいの広さの部屋を与えるなん、何でもないみたいなんだけど……、でも、そんなことがなくっても、息子が落第することを考えれば、大したことないんじゃないかな?
 息子が落第? 佐山クンが通っている高校は確か……あら?
 ケータイ。またバッグのなかで鳴ってるみたいだけど。
 ん、もうっ。何度も何度もしつっこい人ねぇ。そういうしつっこいひとには……えい! マナー・モードにしておいて音がしないように………あ、ごめんなさい。ええっと、何の話のだったかしら? 先生、忘れっぽくて……

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月12日 (月)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その2

 違う、違うっ。本当に勧誘とかじゃないのよ。本当になんでもないの。佐山クンは気にしなくて平気なことで、ねえ、それよりその目的のマンションは遠いの? もうずいぶん駅から歩いてきたみたいだけど……
 もうとっくに着いてるよ。
 もうとっくに着いてるって、えっ? ひょっとして、目の前にあるこの黒い外壁の、オシャレな感じのするこのマンションが、佐山クンがいっていたその……
 そっ。このマンションのいちばん上の階、三階ですから、さあ、入ってください。
 入るのは一向に構わないんだけど………、でも、勝手にお部屋なんか使っちゃって本当に平気なの? 佐山クンだけならともかく、私なんてまったく面識のない人間だから、そんな見ず知らずの人間を勝手に部屋に上げたりして、佐山クン、あとでその持ち主のひとに叱られちゃったりしない?
 そんなのゼンゼン平気ですよ~。なんたって、よ~~く知ってるダチの部屋ですから………あ、着いた、着いた。そっちの左側のドアですよ。
 あら? あらら?
 なに? どうかしたんですか?
 このフロア………、ドアがふたつしかないのね。さっき外から眺めた時にはあんなに大きな建物に見えて、ワン・フロアに四つや五つお部屋があってもよさそうな印象だったのに、それなのに中に入ってみたら短めの廊下の端と端に、たったふたつのドアしかないなんて……、一体どういうことなのかしら?
 中を見ればワケがわかりますよ。いいですか? いまドアを開けますから、よ~く見ててくださいよ。ほ~ら……
 あらー、中とっても広いじゃな~い。それにどこもピっカピカで……
でしょう。高さは三階までしかないないけど、でも、築二年半の、ほぼ新築って言っていいような新しいマンションで、オマケにいま先生が見てるこの最上階の部屋なんて55㎡も広さがあるんですからね。
 五十五ヘーベー? 先生、そういうマンション事情に詳しくないっていうか、実は数字にもあまり強い方じゃないから、“ヘーベー”なんて単位つかわれちゃうと……
 そうだなぁ。ボクたちが通ってたあの小学校でいえば、二階の端っこにあった視聴覚室と同じぐらいの広さ。そう言えばちょっとは分ってもらえます?
 二階の視聴覚室って、えっ? あの第二視聴覚室と同じくらいの広さっ!? ここってそんなに広いお部屋なの? そんなに広いお部屋なら、ちょっとした家族なら住めちゃうじゃな~い。
 そう。そうなんだけど、でも、驚くのまだ早いですよ、先生。そっちの、レースのカーテンの向こうのバルコニーなんか、ゆうに普通のマンションのバルコニーの三倍の広さはあるだろうし、バスルームなんかは広いだけじゃなく、メチャ凝った造りになってたりするんですから。

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月 6日 (火)

『潤色の舌戯』 -恩師編- その1

     『潤色の舌戯』 ―恩師編―
                         作 : 真堂 晃

 ……ですからっ、その程度のことで何度も電話してこないで下さいっ。朝からこれで………えっ? ええ、ええ。元気にやっていますし、ケガもしていませんし、食品偽装されたモノも一切食べていません。ゼンゼンまったく、生まれ変わってサイボーグにでもなったかのように元気にやってますから。ですから、何度もかけてこないで下さい。いいですか? 切りますよ。これで最後ですからね。切りますよ。ふぅ~……
 …………………
 あっ、いえ、ごめんなさいね。話の途中だったのに、途中で電話なんか受けちゃって……
 ううん、それは別にいいんだけど………、あのさぁ、ホントはこんなこと先生に訊いちゃいけないのかもしれないけど、いま先生にかかってきた電話、誰からだったの? なんか男のひとみたいだったけど……
 ベっ、べつに……、何でもないのよ。気にしなくていい男だから……
 ひょっとして………なんかの勧誘?
 勧誘ぅ!?
 そう。どっかに墓を買えだの、うまい投資話があるからひとクチ乗ってみないかと、そういうの色々あるじゃない。
 そっ、そんなのじゃないわ。そんなのじゃないったら……
 そうなんだ。じゃあ、勧誘じゃないんだったら、一体なんだろう? いんちきミネラル・ウォーターの押し売りとか? この水はこの世のなかにある、ありとあらゆる万病に効く水でって長々とまくしたてて、ふつうに買えば百円かそこらの500mlのミネラル・ウォーターを五千円とかでケース単位で売りつけておいて、ただ高い金額で売っただけでもインチキなのに、万病に効くとかっていう効果はまったくの100%デタラメで、オマケにその儲けの一部が、ウラを開けてみればどっかの大物政治家のポケットに政治資金として転がり込んでいて、大物政治家は今日も何ひとつ仕事をしなくても大儲けっていう仕組みのインチキ水の押し売りの、あのいんちきミネラル・ウォーターの押し売りとか?
 そっ、そんなのじゃないわっ。違う、違うっ。その話なら、先生もべつの先生から耳にしたことがあるけど、今のはそんなインチキ水の勧誘なんかとはまったく無縁の、ゼンゼンまったく関係ない電話よ。本当なんだからっ。
 でもさぁ、梨々香が歌ってる『わたしはきょうもAVで気持ちよくお仕事』っていうあの曲、先生のケータイの着メロだよね? 駅でボクと待ち合わせしてた時から、“♪イク、イク、宇宙の果てでも、どこでも梨々香はイっちゃうの~”っていうあのリフレインの部分、先生のそのバッグの中から何度も何度も鳴ってたみたいで、あのしつこさから想像するとやっぱり何かの勧誘……

          (つづく)

人気ブログランキング ←’09年も引き続きランキングに参加してます。

| | コメント (0) | トラックバック (1)